タローさんちの、えんがわ

「音楽をする」って、 「音楽的に生きる」ってこと

鳥獣慰霊祭

ツクル森が終わって、まだその報告もここでは出来てないけど…
その数日後、スマホが伊根の漁港の定置網船の傍から日本海の底に消え、何故か二日続けてカモメに糞をしこたまかけられた僕は、その後夕暮れの田舎道でチビ黒猫を拾い、そしてその後日には放置したままになっていた我が家の畑の安納芋を掘り出し、更に昨日は一年ぶりに、僕が今最も大事にしたいと思っている演奏の一つに行ってきた。飛ぶように日々が過ぎていたけれど、ともあれその演奏のご報告だけを。 

f:id:KishimotoTaro:20201124213125j:plain

舞台となった大黒山北寺本堂。柔らかな顔の大国さんが鎮座している。
久しぶりに本職(と言えるのか?)、ケーナの演奏依頼。と言っても実際にはフツーのケーナは使ってなくて、ほとんどチョケーラと呼ばれる笛を使ったが、ケーナやチョケーラといった笛は僕にとってはまさに息を吐くのに等しい笛で、今は人前で演奏する事が限りなく少ない。あまりにも自分にとってフツー過ぎて、これで舞台に立っていいの?って思ってしまう。で、自分からこれで人前に出ようとか、仕事をしていこうとすることが、どうしても今の僕には出来ない。何か、変にずるいような気がしてしまうからだ。でも世の中のミュージシャンはむしろ、そういう楽器&音楽で日々舞台に立ってる訳だから、僕の頭がどこかおかしいのだろう(笑)

f:id:KishimotoTaro:20201124213303j:plain

本堂の前には狛犬が。神仏習合的なこの本堂は不思議な可愛らしさがある。
「鳥獣慰霊祭」、これは害獣とされて処分されている、アライグマやハクビシン等のための、鎮魂の儀礼だ。企画されている川道さんは関西野生生物研究所代表で、エゾシマリスの研究家(ご主人はムササビの研究家)。本来なら他の誰よりも野生の小動物たちを愛している人々が、その生態を熟知しているからこそ、こういった対策に当たらなければならない現実がある。そのご心痛は、想像に難くない。

f:id:KishimotoTaro:20201124213415j:plain

お客で来てた洋子さんに最後だけ参加してもらう。小さきものたちに想いを込めて。オーブが飛び交う(笑)
地元で催している冬至祭でも、鳥獣慰霊の儀礼を入れている僕としては(というか笛の演奏家としては)どんな舞台よりも、ある意味人前でやる演奏よりも、根源的な意味があると感じている。
ところで、慰霊の会場となっている大原の大黒山北寺は不思議な寺だ。本堂の大黒さんも何か特別な佇まいだし、その脇に置かれた巨大なヒスイも不思議なエネルギーを放っている。それらにお尻を向けて、演奏する訳なんだけれど(^-^;

f:id:KishimotoTaro:20201124213532j:plain

ものずごい存在感の、巨大ヒスイ…古代の水が閉じ込められていて、触ると水を感じる。
演奏を終えた後に、本堂の周りに清々しい空気が流れているのを感じるのが不思議だ。
精進を重ねようと思う。

f:id:KishimotoTaro:20201124213635j:plain

アルメニアのBlulも少しだけ演奏。QuenaやIrishFluteなんかに比べると、とんでもなくまだまだ不慣れな笛だけど、この笛の響きは今最も気に入っている。今はこの笛を練習していること自体、僕にとっては祈りになって来ている。